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ムダ毛の生成とホルモンバランスは、強い関連性があるのでしょうか。ホルモンバランスが乱れると、毛深くなったりするのでしょうか。脱毛を考える女性にとっては、かなり気になるポイントだと思います。このあたりの部分について、医学的な見地からご説明いたします。
体毛の種類を整理しましょう
ホルモンと毛の関係を説明する前に、私たちの体毛の種類を整理しておきましょう。体毛にはホルモンの影響を受けやすい毛と、比較的ホルモンの影響を受けにくい毛とがあります。
無性毛と性毛
「無性毛」とは、ホルモンの影響を受けにくい毛で、具体的には頭髪や眉毛、まつ毛、手足の毛です。比較的「性的なもの」とは関わりの低い毛だと考えるとわかりやすいでしょう。一方、ホルモンの分泌量によって毛量が濃くなったりするものを「性毛」と呼びます。
体毛の種類(ホルモンの影響との関係)
無性毛 … ホルモンバランスの影響をほとんど受けない毛
性毛 … ホルモンバランスの影響で濃くなったりする毛
無性毛と性毛
ホルモンの影響を受けやすい「性毛」は、さらに2種類に分類され、男性特有の毛でホルモンの影響を受けやすいものを「男性毛」、性別に関わらずホルモンの影響を受けやすい毛を「両性毛」と呼びます。
毛の性質に着目して情報を整理すると下記のようになります。この表で毛の種類と部位について全体像をイメージしてください。
名称 | 部位 |
---|---|
無性毛 | 眉毛・まつ毛・手足の毛、側頭部や後頭部の頭髪 |
性毛(男性毛) | ヒゲ、胸毛・背中の毛・お腹の毛・耳の毛・前頭部や頭頂部の頭髪 |
性毛(両性毛) | 性毛(両性毛) ワキ毛・陰毛(アンダーヘア) |
男性ホルモンが増えるとワキ毛やアンダーヘアが濃くなる!?
ポイントとしては、「性毛」は男性毛であれ、両性毛であれ、「男性ホルモンの分泌量」が毛量や毛の濃さに影響を与えるということです。女性は男性と比較した場合、男性ホルモンの量が10分の1程度と言われていますが、それでも一定程度の男性ホルモンは分泌されています。ホルモンバランスの乱れによって男性ホルモンが過剰になってくると、女性の場合は両性毛がその影響を受けるということになりますので、ワキ毛やVIOの毛が濃くなってしまうということになります。このため、ホルモンバランスが乱れないような生活を心がけることが大切です。
妊娠中に毛深くなるのは?
妊娠中は、赤ちゃんを宿しているママのお腹の毛が濃くなるということが良く言われます。これは女性ホルモンの卵胞ホルモン「エストロゲン」と、黄体ホルモンの「プロゲステロン」の分泌量が共に増加することと関係があります。
体毛が増えるというよりは、女性ホルモンの増加によって、妊娠中はメラニン色素が沈着しやすくなり、このことで普段目立たない産毛(うぶげ)が目立ちやすくなる影響だと言われています。このため、産後にホルモンバランスが元に戻ると、一時的に目立っていた毛深さのような症状は落ち着いていきます。
男性ホルモンの分泌量が増えて、実際に毛深くなっているのとは少し異なりますので、無理にカミソリや毛抜きなどで自己処理はせず、赤ちゃんをサポートするための身体の正常な機能だと捉えていただければと思います。ちなみに、当院では妊娠中の脱毛施術はお断りしております。
妊娠中はお肌の状態が敏感になっているため、術後の肌トラブルを避ける目的での判断となります。産後に月経が通常通り戻った後であれば脱毛施術をお受けいただけますので、ご理解のほど宜しくお願いいたします。
ホルモンバランスの安定のためにすべきこと
さて、ホルモンバランスの乱れで男性ホルモンの分泌量が増えてしまうと、女性の場合ワキ毛やVIOの毛が濃くなる可能性がある旨をご紹介いたしました。日本人女性であれば、やはりこれらの毛が濃くなることを前向きに受け止めるのは難しいものだと思います。
とは言え、「男性ホルモンの分泌割合だけ下げておく」といったセルフコントロールはできませんので、このようなあまり好ましくない影響を受けないために、普段私たちができる「ホルモンバランス」を安定的に保つ方法についてご紹介したいと思います。
適切な睡眠の確保(睡眠時間よりも眠りの質が重要)
ホルモンバランスの乱れを起こさないために最も重要なことは「良質な睡眠」です。よく夜の10時頃~深夜の2時頃は成長ホルモンが分泌される「睡眠のゴールデンタイム」だと言われてきましたが、これはあまり正確ではなく、現在では時間帯よりも「深い眠りの状態をしっかりと確保すること」の方が重要だと考えられています。
眠り初めの3時間に睡眠を遮られないことが最も大切!
私たちの美容にも関係する「成長ホルモン」は、特定の時間帯に眠ればよく分泌されるというわけではなく、眠り始めて最初に訪れる「ノンレム睡眠」の最も深い領域「ステージⅢ」もしくは「ステージⅣ」で多く分泌されることがわかっています。
このノンレム睡眠の最も深い領域を「徐波睡眠」や「深睡眠期」と呼び、上記イメージのように通常眠り初めの最初の3時間くらいの間に到達します。一瞬でストンとこの領域に到達するものではなく、徐々に深い眠りに落ちていくわけですが、眠り始めたタイミングで仮に物音などで目覚めてしまうと、うまくこの領域に達せず、眠りそのものが質の悪いものになってしまう可能性があります。
こうなると、次に眠りに落ちた時に「ステージⅢ」や「ステージⅣ」の領域に到達することができず、成長ホルモンがしっかりと分泌されないということが起こります。このため、ただたくさん眠れば良いということではなく、眠り初めの最初の3時間をいかに適切な環境で過ごすかが大切になってきます。
明け方に眠りに着くのもあまり良くありません
また、身体の体温(深部体温)も眠りの深さに影響を与えます。深夜から明け方に向かうにつれて徐々に深部体温は上昇し、深い眠りを得にくくなりますので、睡眠時間を明け方に持ってくるのもホルモンの分泌という点であまり良くありません。
成長ホルモンの分泌を意識した睡眠の理想形
理想的なところで言えば、たとえば深夜0時頃には静かな環境でしっかりと眠りにつき、0時~3時は完全に邪魔の入らない睡眠を確保し、6時以降くらいに目覚めていくような形が最適だと判断できます。0時以降に眠りに着く習慣がある場合、明け方に向かって徐々に変化する深部体温の上昇が眠りの質に影響を及ぼす可能性が出てきますので、遅くても1時頃には眠りに着くようにしておきたいものです。
ホルモンバランスを意識した理想的な睡眠習慣
1.深夜0時頃には寝るようにする
2.0時~3時は誰にも邪魔されない静かな環境を確保する(この時間帯で成長ホルモンをしっかりと分泌させる)
3.朝6時以降くらいに深部体温の上昇と共にゆったりと目覚める
もちろん、人それぞれライフスタイルが異なりますので、一概にこれしかないと押し付けることはできませんが、概して「質の良い睡眠」を心がけることは、ホルモンバランスの安定化に繋がっていくということになります。
偏った食生活や過度なストレスもNG
偏った食生活や過度なストレスもホルモンバランスに悪影響を及ぼすものとして知られています。これは「自律神経の乱れ」を引き起こす可能性が高いためです。ホルモンバランスの分泌をコントロールしているのは脳の「視床下部」や「下垂体」ですが、ここは自律神経の働き(交感神経と副交感神経の推移など)をコントロールする司令塔にもなっています。
つまり、偏った食生活や過度なストレスがかかり続けると、活動時に活発になる「交感神経」と、安静時に活発になる副交感神経の移行がスムーズに行なわれなくなり、これが結果としてホルモンの分泌指令にも悪影響をもたらすということになります。
食事は意識して改善を! ストレスは付き合い方や解消法で工夫を!
食事は自分でコントロールできるものですので、バランスの良い食生活を普段から心がけてください。過度なダイエットをし続けると思わぬところで悪影響が出る可能性もありますので、ほどほどを心がけることが重要です。また、ストレスは現代社会では避けにくいケースもございますが、この場合も避けられないのであれば、それを解消する術を見つけるなど対策を立てることが大切です。
カラオケ、写真、ピアノ、映画…、何でも良いと思います。日常的に感じてしまったストレスを吐き出せるような習慣づくりを目指してみてください。女性として美しくなることでストレスを解消するという方法もございますので、当院の脱毛プランや美容プランもぜひご活用いただければと思います。